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離婚後に共同親権となった後、自分や元配偶者が再婚を考えるケースは珍しくありません。しかし、共同親権の状態で再婚する場合、単独親権時代とは異なる法的な問題が生じます。特に「再婚相手と子どもを養子縁組させたい」「相手が再婚して養子縁組させようとしている」という場面では、親権の帰属が大きく変わる可能性があります。
1, 共同親権で再婚した場合、親権は自動的に変わる?
まず大前提として、再婚という事実だけでは、共同親権の状態は変わりません。
離婚後に共同親権として定めた場合、一方の親が再婚しても、元配偶者との共同親権はそのまま継続します。再婚相手が新しい家族に加わっても、元配偶者との間で決めた養育計画や親子交流の取り決めは引き続き有効です。
「再婚したら共同親権が解消される」と思っている方がいますが、それは誤りです。共同親権を変更したい場合は、別途「親権者変更の申立て」という手続きが必要になります。
2, 再婚相手と子どもを養子縁組するには、元配偶者の同意が必要
共同親権の状態で、再婚相手と子どもを養子縁組させたい場合、元配偶者の同意なしには進めることができません。
民法上、15歳未満の子を養子とする縁組については、親権者が子に代わって承諾(代諾)する必要があります。そして、共同親権の場合には、父母が共同で代諾しなければなりません(Q&A民法編 Q5-2)。
つまり、再婚相手と子を養子縁組させるためには、元配偶者の同意を得た上で、ともに縁組の代諾を行う必要があります。また、養子縁組の代諾は「監護及び教育に関する日常の行為」には当たらないため、どちらか一方が単独で進めることもできません。
3, 元配偶者が養子縁組に反対した場合の手続き
元配偶者が養子縁組に反対している場合でも、手続きの道はあります。
法務省Q&A(Q5-2)によれば、反対している場合には、「特定の事項に係る親権行使者を定める審判」を家庭裁判所に申し立てることが考えられます。これは、養子縁組の代諾という特定の事項について、一方の親が単独で行使できるよう裁判所に認めてもらう手続きです。
ただし、家庭裁判所は「子の利益のために必要な場合に限り」この審判を認めることができるとされています。再婚相手との養子縁組が子の利益になるかどうかは、個別の事情を総合的に考慮して判断されます。単に「再婚相手と一緒に暮らすから」という理由だけでは認められない可能性があり、審判の申立てを考える場合は弁護士への相談が不可欠です。
4, 再婚相手との養子縁組で、元配偶者の親権はどうなる?
これが最も重要なポイントです。養子縁組が成立すると、元配偶者の親権は自動的に消滅します。
法務省Q&A(Q5-2)は、次のように明確に示しています。
「父母の一方の配偶者と養子縁組が成立した場合には、養親とその配偶者である実親が共同親権者となり、他方の実親は親権者ではなくなる(新民法第818条第3項)。」
つまり、養子縁組が成立した時点で:
- 新しい共同親権者:再婚相手(養親)+同居している実親
- 親権を失う:元配偶者(別居している実親)
これは、離婚後に共同親権を築き、子どもとの関係を大切にしてきた元配偶者にとって非常に重大な結果です。養子縁組に同意することは、自分の親権を手放すことを意味します。
5, 養子縁組しない場合、再婚相手である継親に親権はある?
再婚はしても、再婚相手と子どもを養子縁組させない選択もあります。この場合、継親(ステップペアレント)は子に対して法的な権利も義務もありません。
具体的には、継親には以下のものがありません。
- 親権・監護権(子の教育・医療などを決定する権限)
- 扶養義務(養育費を負担する義務)
- 相続権(継親が亡くなっても子は法定相続人でない)
継親が日常的に子育てに関わる実態があったとしても、法的には「他人」の状態です。養子縁組なしで長期同居するケースでは、万が一の際(継親の死亡・再離婚など)に子どもの権利が守られないリスクがある点を理解しておく必要があります。
6, 元配偶者が再婚して、養子縁組を求めてきた場合の対応
反対の立場から考えてみましょう。元配偶者が再婚し、その相手と子を養子縁組させようとしている場合、どう対応すればよいでしょうか。
前述のとおり、共同親権の場合には元配偶者単独で養子縁組を進めることはできません。同意を求められた場合、あなたが反対すれば、相手は家庭裁判所に審判を申し立てることになります。
その審判では「子の利益のために必要か」という観点から判断されます。審判において考慮されうる事情としては以下のものがあります。
- 再婚相手と子の関係性(同居期間・日常的な関わりの実態)
- あなたと子の関係性(面会交流の頻度・養育への関与)
- 子自身の意向(年齢・発達に応じて)
- 養子縁組後に子の生活環境がどう変わるか
あなたが子どもとの関係を大切に維持し、養育費の支払いや面会交流をしっかり続けてきた実績は、この審判において重要な証拠となります。
養子縁組に同意することは、自分の親権を失うことを意味します。元配偶者から養子縁組の同意を求められた際は、必ず弁護士に相談した上で判断することを強くお勧めします。
7, 養子縁組に同意した後、離婚・養子離縁したら親権は戻る?
【ケースの流れ】
父A・母Bが離婚し共同親権となった。その後、BがDと再婚。AはDとCの養子縁組に同意した。この時点で、Aの親権は消滅した(民法第818条第3項)。その後、BとDが離婚し、さらにDとCが養子離縁した。
【問題①】AとCの親子関係は残るか
結論からいえば、AとCの法的な親子関係は一連の経緯を通じて消滅していません。
今回は普通養子縁組であり、実親との法的な親子関係を断ち切る特別養子縁組とは異なります。DとCが養子縁組していた間も、AとCは法律上の親子であり続けていました。したがって養子離縁後も、AはCの扶養義務を負い、互いに相続権を持つ関係が維持されます。
【問題②】Aの親権は自動的に戻るか
DとCが養子離縁すると、Dの親権は消滅します。親権者はBのみとなります。ではAの親権は自動的に復活するのでしょうか。
これは2026年の改正法でも明確に規定されていない新しい論点です。理論上は「DがBの配偶者として養親である」という親権喪失の原因が消滅したことで、Aの親権は復活する方向に向かうと解釈されます。しかし実務上は、家庭裁判所が改めて関与する場面が生じる可能性があります。
特に、離婚時にBの単独親権だった場合は元の状態に戻ることが出発点となり、Aが親権を取得したい場合は「親権者変更の申立て」が必要になります。
【この事例が示す教訓】
「その時点での同意」が後から取り消せるとは限りません。BとDの関係が破綻し、DとCが離縁するという展開は、決して珍しいケースではありません。養子縁組に同意する前に、こうしたリスクシナリオを弁護士と一緒に検討しておくことが、将来の後悔を防ぐ最善の方法です。
8, 15歳以上の子どもを養子縁組する場合は、本人の同意が必要
子どもが15歳以上の場合は状況が異なります。15歳以上の子を養子とする縁組には、親権者による代諾ではなく、子ども本人の同意が必要です。
このため、15歳以上の子どもの養子縁組については、子ども自身の意思が最も重要な要素となります。父母がどちらの意向を持っていようとも、子本人が同意しない限り養子縁組は成立しません。逆に、子本人が同意すれば、父母の一方が反対していても縁組が成立する可能性があります。
9, 再婚や新しい子どもの誕生で、養育費は変更できる?
再婚は、養育費の変更申立て(増額・減額)の理由になり得ます。
養育費の減額が認められ得る事情
- 支払う側(非同居親)が再婚し、再婚相手やその連れ子を扶養することになった場合
- 支払う側との間に新たな子が生まれた場合
養育費の増額・変動が生じ得る事情
- 受け取る側(同居親)が再婚相手と子が養子縁組した場合(再婚相手が扶養義務を負うため、元の親の養育費が減額されることがある)
- 受け取る側が再婚したが養子縁組はしない場合(養育費への影響は限定的なことが多い)
ただし、再婚したからといって自動的に養育費が変わるわけではありません。変更を希望する場合は、まず相手方との協議を試み、合意できない場合は家庭裁判所に「養育費の変更の調停・審判」を申し立てることになります。
10, 補足:海外では継親に日常的な権限を認める制度もある
海外には、再婚相手である継親に対して、子どもの日常生活に関する一定の決定権を認める制度を設けている国もあります。たとえば、養子縁組によって元配偶者の親権を消滅させるのではなく、同居する継親が日常的な事項について関与できる仕組みを設ける考え方です。
これに対し、日本では、再婚相手が子どもに対して法的な親として関与するためには、養子縁組が重要な選択肢になります。しかし、共同親権中に再婚相手と子どもが養子縁組すると、元配偶者の親権が失われるという重大な効果が生じます。
そのため、単に「再婚相手と子どもが一緒に暮らしているから」という理由だけで養子縁組を決めるのではなく、元配偶者との関係、子どもの意思、将来の生活環境、養育費や相続への影響まで含めて慎重に検討する必要があります。
11, まとめ|共同親権で再婚・養子縁組を考えるなら弁護士へ相談を
共同親権と再婚が絡む問題は、単独親権の時代よりも法的に複雑です。特に次の点は、行動する前に必ず専門家に確認することをお勧めします。
- 再婚相手と子を養子縁組させたい場合、元配偶者の同意が必要であること
- 養子縁組に同意することは、元配偶者の親権を消滅させることを意味すること
- 元配偶者から養子縁組の同意を求められた場合、慎重な判断が必要であること
- 再婚・新たな子の誕生は養育費の変更申立ての理由になり得ること
「再婚相手と子が仲良くなってきた。そろそろ養子縁組を考えたい。」「元配偶者から養子縁組の同意を求められたがどう対応すべきか。」
こうした場面では、法的な影響を正確に理解した上で判断することが、子の将来と双方の権利を守ることにつながります。
当サイト「共同親権弁護士」(レンジャー五領田法律事務所)では、再婚と共同親権に関するご相談にも対応しています。初回相談無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
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